土木も建設も、測量から始まる。

取締役測量統括佐藤 孝男

土木にも建設にもすべての基本となる測量が不可欠だ。鉄道の駅や線路、ダム、道路建設などの公共的な事業、自然災害後の地形変化の調査や復旧事業に際し、点と線を測って図面を作成し、また、設計図の点と線を現地に表示する。佐藤は、新潟にとどまらず様々な街を、山や川、海の下をも測り、多くの構造物を形にする第一歩を担ってきた。

測量と設計はモノづくりの両輪

佐藤の初仕事は、鉄道駅の平面図作成。1カ月かけて、駅構内の線路、周囲の道路や家屋を測量し、正確に図面化するものだった。専門学校で測量や建設の基礎は学んだ。しかし、「全然できませんでした。先輩が仕上げた平面図には、必要な情報が細かに、かつ見やすく書き入れられており、芸術品のように美しかった」。作業者の熟練度により精度や見栄えが大きく異なり、それは、その後の設計作業がスムーズに進むかどうかを左右すると実感した。

入社4年後の佐藤は青函トンネル建設現場の青森方坑口にいた。先輩・同僚社員5名とともに青森側の2kmを担当し、路線測量という仕事を行っていたのだ。それは図面上の現北海道新幹線の中心線を現地に落とし込み、線路の中心となる位置に20mごとに杭を打つ作業で、線路敷設に欠かせないものだ。様々な現場に出ていく測量という仕事は、時に厳しく、難題を突き付けてくる。しかし、佐藤は負けなかった。「測量と設計はモノづくりの両輪。負けられない、と、互いに向上心を持ち、切磋琢磨、丁々発止でやっていましたね」と、笑う。

暮らしを支え、安全を守る使命がある

旭調査設計が手掛けた測量の最大級案件は、信濃川に建設された唯一のダム、宮中取水ダム5期工事に伴う測量であり、佐藤も参加していた。十日町で取水された水は、長い水路やトンネル約27kmを経て小千谷発電所に運ばれて発電に利用され、東京の山手線・中央線に必要な電力を生み出す。測量対象面積は広く、地表は写真撮影して画像を分析、トンネル内は角度を1秒単位で測定、調整池は音波を利用して水深を測定するなど、様々な技術で対応した。

宮中取水ダムでの測量の様子

中越地震後には、国土地理院が定める三角点が地震によってどのように変動したか、測量地点(三角点)約100カ所を測量した。道路が損傷し車が入れないときは歩き、森が深くGPSの電波が悪い状況の地点は樹木を伐採した。「測量した5社の中で一番早く終了させ、高評価をいただきました。体力と根性さらに使命感があったから成し遂げられたんですよ」。厳しい仕事だったが、佐藤らが出したデータは、安全な地域づくりや地震予知にも活かされる。その使命感が彼らを突き動かしている。

中越地震による三角点の移動状況を把握する測量

地図に残る仕事。その達成感は大きい

GPSの位置情報や無線LANまたはドローンなどを利用し一人で測量できる機器、測量結果を瞬時に計算してくれるソフトなど、今、測量機器や技術はハイスピードで進化している。「測量は手作業、体力勝負だと言っていたのは、徐々に過去のことになりつつあります」。とはいえ、機械は万能ではない。たとえば、想定と異なる数値がはじき出されたときは変だと感じて確かめることが、災害や事故などで機器や通信状態に不具合が生じたときには、自分で計算することが必要だ。「測ったデータがなぜこの数値になるのか。なぜ誤差が生じたのか、どのようにして誤差を消去していくのか。そういうことができる『測量技術者』になろう!と若い社員に伝えています」。そのために、理論を教え、資格取得を応援している。

「当社は、建設に必要な設計・地質調査・測量の部門がすべてあり、鉄道インフラという得意分野を持っています。だから、鉄道に関わる大きなプロジェクトが経験でき、地図に残る仕事に関われます。測量はおもしろい仕事ですよ」。佐藤の笑顔がさらに大きくなった。